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(以上7社、50音順)

キトサンに関するQ & A

Q1. キチンとキトサンの違いは何でしょうか?

A1. キチンとキトサンの化学構造上の違いは、キチンはN-アセチル-D-グルコサミン単位が主体の多糖、キトサンはD-グルコサミン単位が主体の多糖であるということですが、日本キチン・キトサン学会の「キチン・キトサンとは(新しいウィンドウで開きます)」中の「3. キチンとキトサンの区別」に述べられているように、N-アセチル-D-グルコサミン単位含量が何%以上をキチンと呼び、D-グルコサミン単位含量が何%以上をキトサンと呼ぶという明確な区別はなされていません。

化学構造の違いよりはむしろ、「キチンは酸、アルカリ、一般的な有機溶剤に不溶ですが、キトサンは希塩酸や希酢酸の溶液に溶けます。」というように溶解性の違いが強調されることが多いようです。

また、キチン分解酵素であるキチナーゼとキトサン分解酵素のキトサナーゼを用いて、これら酵素の分解性によりキチンとキトサンを区別している場合もあります。

Q2.キチンやキトサンの実用例を教えてください。

A2. キチンやキトサンは人や動物用の創傷被覆材として商品化されています。キトサンは工業用として汚泥の脱水処理剤として大量に使用されてきましたが、現在では健康食品などの食品分野に多く使われています。また、キトサンあるいはその誘導体の持つ保湿機能等が着目され、化粧品原料として化粧品に配合されている他、繊維加工分野等にも使用されています。

Q3. キチンやキトサンを食べるとどうなりますか?

A3. キチンやキトサンはアミノ基をもつ多糖ですが、ヒトはこれらを分解する消化酵素をもっていないので食物繊維の一種と言えます。キチンの場合、酸やアルカリに溶解しないので、食品に加工しても溶解せず、また摂取しても、消化管内では溶けずにそのまま排泄されます。一方、キトサンは酸性領域で溶解する性質をもっているので胃の中では溶解していると考えられます。

摂取されたキチンやキトサンは食物繊維としての作用を発揮しながら大部分は糞中に排泄されますが、キトサンの一部は胃酸による加水分解(低分子化)し、腸内細菌のエサになって分解され、有機酸あるいはガスになる可能性があります。

キトサンは各種臨床試験の結果により血清コレステロールや血清尿酸値の改善作用が認められており、そのメカニズムは消化管においてこれらの物質をキトサンが吸着して排泄することによる吸収阻害であると考えられています。キトサンの適正摂取量は1日当たり0.3〜2.0gと考えられています。きわめて安全性の高い素材でありますが、過剰摂取時には吸水性などの問題もあり注意して下さい。

Q4. キトサンを使用した特定保健用食品(トクホ)はありますか?

A4. キトサンを関与成分とした特定保健用食品は平成7年にビスケットの形態で許可されて以来、現在まで、即席麺、蒲鉾、青汁の形態の食品で申請した商品が表示許可を得ています。なお、特定保健用食品は厚生労働省が許可した保健機能食品のうち、個別に審査・許可されるもので、キトサンが含まれている食品は全て特定保健用食品というわけではありません。キトサンを配合した食品に対して、動物を用いた基礎試験、ヒトを用いた臨床試験、安全性試験などの申請資料をまとめて、厚生労働省に申請し厳しい審査に合格した商品に初めて、キトサンをコレステロールの体内への吸収をしにくくする関与成分として、『コレステロールが高めの人の食生活の改善に役立ちます』という表示許可が与えられます。

これらのトクホの利用にあたって必ず注意しなくてはならないことは、トクホの目的は、継続的摂取によって動脈硬化などの生活習慣病のリスクを回避することであり、治療を目的にしたものではないことを十分理解して利用すべきです。また摂取にあたっては製品に記載されている「利用上の注意」(注意喚起表示)を必ず読むことです。キトサンを使った特定保健用食品の利用上の注意としては、水分の摂取や他の食品と組み合わせて利用する旨などがあります。

詳しくは公益財団法人 日本健康・栄養食品協会(新しいウィンドウで開きます)国立健康・栄養研究所(新しいウィンドウで開きます)の各サイトで見ることができます。

Q5. キトサンには抗菌性がありますか?

A5. キトサンは分子内にアミノ基を有し、正に荷電する性質から一般に負に荷電している微生物表面を中和かく乱すると言われています。大腸菌、緑膿菌、枯草菌、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの細菌類に抗菌性を示すという報告があります。

また、キトサンは植物病害菌としてよく知られているカビの一種であるフザリウム属菌の抗菌性が強く、野菜類に被害を与える萎黄病菌や萎ちょう病菌の生育を阻害します。その他、カンキツ黒点病、イネいもち病や雪腐病菌などにも抗菌性が確認されています。

Q6. キチンを溶解可能な溶媒を教えてください。

A6. キチンを溶解可能な溶媒としては塩化リチウム−ジメチルアセトアミド、ヘキサフルオロアセトンが知られています。また、関西大学の戸倉先生のグループが塩化カルシウム−メタノール系の溶媒がキチンを溶解することを見出し、応用研究も行われています。

Q7. キトサンを溶解可能な溶媒を教えて下さい。

A7. 酢酸等の有機酸の水溶液に溶解することができます。キトサン濃度0.5〜1.0%程度の希有機酸水溶液を調製する場合、使用する有機酸の量もキトサンと同重量程度とするのが一般的です。

Q8. キトサンは製膜性がありますか?

A8. あります。例えばキトサン濃度0.5〜1.0%程度の希酢酸水溶液を硝子板状に流延、乾燥するとキトサンの酢酸塩フィルムができます。

Q9. キトサンは紡糸できますか?

A9. キトサンを紡糸することは可能です。但し、実用強度を持つキトサン糸を製造するにはかなりのノウハウを必要とするようです。

Q10. キトサンはどのようにして工業生産されていますか?

A10. 国内でのキトサン製造はカニの甲殻を原料に製造されています。カニの甲殻に塩酸を加えてカルシウム分を塩化カルシウムとして除去します。また、タンパク質を希水酸化ナトリウム液で加熱し、分解して除去し、キチンを製造します。塩酸処理、水酸化ナトリウム処理のどちらを先に行うかはそれぞれのメーカーによって異なります。キトサンはキチンを濃水酸化ナトリウム液で加熱する脱アセチル化処理により製造します。処理後十分に水洗をし、水酸化ナトリウムを除いた後、乾燥してキトサン製品とします。

乾燥紅ズワイガニ甲殻の組成はカルシウム分が50〜60%、タンパク質が15〜20%、キチン質が25〜30%です。キチンの製造条件、脱アセチル化条件によって多種多様の分子量、脱アセチル化度の異なるキトサンが製造されています。低分子のキトサンを製造する場合には、キチンあるいはキトサンの段階で酸化分解処理を行う場合もあります。キトサンの種類などは工業会会員会社にお問合せ下さい。

Q11. キチン、キトサンの入手方法を教えて下さい。

A11. 会員会社から多種多様のキチン、キトサンが製造・販売されています。会員会社へアクセスして下さい。ご使用目的にあった方法がわかります。

Q12. キチン、キトサンの生産量を教えて下さい。

A12. キトサン工業会では統計を取っていませんのであくまでも推計ですが、世界で年間1000t前後、日本国内では半分強の500〜600tが製造されていると言われています。

Q13. よく新聞・テレビでグルコサミンという言葉を聞きます。グルコサミンとは何ですか?

A13. グルコサミンはアミノ糖の一種で、キトサンを構成する主な単糖です。キトサンを酸で加水分解すると低分子化して、最終的にはキトサンの構成糖であるグルコサミンまで分解されます。グルコサミンは生体内では軟骨、皮膚や結合組織などのコンドロイチンやヒアルロン酸を代表とするプロテオグリカンの構成成分として重要な役割を果たしております。グルコサミンは通常生体内でグルコースを原料に生合成されていますが、加齢や激しい運動などにより合成が分解に追いつかなくなることがあります。このような場合は外部からグルコサミンを補給すると有効であることが分かってきました。

グルコサミンはヨーロッパでは一般用医薬品(OTC医薬品)として変形性関節症の治療や予防に使用されており、さまざまな研究から短期的には変形性関節症症状の軽減、長期的には軟骨の磨耗を抑えることが報告されており、最近ではサプリメントとしても多くの国で使用されています。更に、美肌作用についてもヒトでの成績が報告されており、これは体内でヒアルロン酸などが生合成されることと推測されています。グルコサミンの1日当たりの摂取量の目安は1.0〜1.5gで、安全性にも問題ありません。なお、日本においてグルコサミンは食品添加物に指定されています。

Q14. N-アセチルグルコサミンとは何ですか?

A14. N-アセチルグルコサミンはグルコサミン同様にアミノ糖の一種ですが、グルコースのヒドロキシル基の1つがアミノ基に置換されたものがグルコサミンであるのに対し、さらにN-アセチル化された構造をもっています。キチンの大部分を構成しています。自然界では、動植物、微生物の複合糖質、特にムコ多糖、糖タンパク質、糖脂質の構成成分として広く分布しています。

工業的にはカニやエビなどの甲殻から調製されるキチンを塩酸などで分解して製造されています。

牛乳100ml中には遊離の状態にて約11mgが含まれており(参考文献:Determination of N-Acetylglucosamine-1-Phosphate and N-Acetylglucosamine in Milk, J. Dairy Sci. 46, 573-574, 1963(新しいウィンドウで開きます))、砂糖の半分程度の甘味があります。

N-アセチルグルコサミンも変形性関節症の緩和に効果があるとの報告があり、サプリメントとして使用されています。更に、美肌作用や胃腸の保護効果などの研究成果が報告されています。N-アセチルグルコサミンの1日当たりの摂取量の目安は0.5〜1.5gで、安全性も問題ありません。

Q15. キトサンを牛、羊などの反すう動物に与えてよいのですか?

A15. キトサンは条件が揃えば牛、羊など反すう動物に給餌できるA飼料として取扱えます。

キトサンは古くから給餌経験のある飼料として使用されてきましたが、牛海綿状脳症(いわゆるBSE)の発生防止の観点から反すう動物用飼料への動物由来タンパク質の混入防止に関するガイドライン制度が農林水産省から平成15年6月に示されました。

このガイドラインによると、『反すう動物に給餌できるのはA飼料のみであり、A飼料は飼料等(飼料・飼料添加物)およびその原料のうち農家において反すう動物(牛、めん羊、山羊、しか)に給与されるまた、その可能性のあるものとして、動物由来タンパク質などが混入しないよう取扱われるもの』と規定されています。さらに、『動物由来タンパク質とはほ乳動物由来タンパク・家きん由来タンパク質・魚介類由来タンパク質・動物油脂・食品残渣に由来する動物由来タンパク質・前述動物由来タンパク質を含む飼料添加物』とされています。

そこで、キトサンを牛などに給餌されていた畜産農家様より「キトサンはA飼料ですか?」「キトサンを牛、羊などの反すう動物に与えて良いのですか?」との質問が寄せられました。

当工業会では、一般社団法人 日本科学飼料協会(JSFA)に問合せた結果、@キトサン製造工程にカニガラ由来のたんぱく質を除く工程があること、A最終のキトサン製品に外部から別の動物性たんぱく質が混入しないこと、の2点が保証されていれば反すう動物に与えられるA飼料とみなしても良いとのアドバイスを頂いております。さらに、動物由来DNA含有遺伝子検査(PCR検査:畜種=哺乳類)で陰性を確認するとなお良いとのことです。

参考までに、JSFAは動物由来DNA含有遺伝子検査を受託しております。詳細は直接JSFA(http://kashikyo.lin.go.jp/(新しいウィンドウで開きます))にお問合せ下さい。

飼料の製造、販売、輸入にはそれぞれ飼料の安全性の確保および品質の改善に関する法律に基づく、飼料製造業者届、飼料販売業者届、飼料輸入業者届を行なう必要があることは言うまでもありません。